2022/10/03

『実るほど 頭をたれる 稲穂かな』(みはるかす 瑞穂国原 穂走れり) 撓わに稲穂が実る大和路~香気四隣に及ぶ頗る金木犀) 生きる正倉院―伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの(神宮徴古館)

       『あしひきの 山川の瀬の  響るなへに 弓月が岳に 雲立ち渡る』

                                   柿本朝臣人麻呂之歌      {萬葉集 巻7-1088} 

『国原の 水たてよこに 彼岸鐘』  (飯田蛇笏)

 奈良.登大路町の奈良国立博物館1029日より[74回正倉院展]が開催され

初出陳 8件を含む正倉院宝物59件が出陳待ち遠しい限りです.

 
「漆背金銀平脱八角鏡」2009年以来の出陳!黒漆が塗られた背面に 宝相華文や 

飛鳥.鳳凰等の文様が金.銀で華やかにあしらわれていますね. 

          『生きる正倉院-伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの- 

生きる正倉院が展示されている『神宮徴古館』は 明治42年に創設され 伊勢神宮の 歴史と

文化の総合博物館でお祭や歴史.文化に関する資料.社殿の 復原展示. 20年に一度行われる

(式年遷宮)で 新調する [御神宝類]他~神宮徴古館には国の重要文化財11.歴史.考古

美術工芸品等 約13000点が収蔵されています. 

[飛鳥時代] 天武天皇による(神宮式年遷宮で 20年に一度神宝を作り替え天照大御神へ

[奈良時代] 聖武天皇の49日の法要に際し.光明皇后により 東大寺の大仏へと献納

されたのが『正倉院宝物』 

正倉院再現模造品の 製作は.長い時の中で失われた当時の構造や技法.素材をも

究明して現代へと蘇らせ.連綿と繰り返し調製されてきた神宮神宝.正倉院宝物が

1000有余年に及ぶ技術と文化の粋.未来へと継承する共通の祈りが~

今後の[神宮式年遷宮斎行]⇒国の 伝統文化の興隆と発展への理解が深まる

一助となることを企図されています.

 (神々と貴人の威儀-壮麗な装い)    [神宮徴古館別館]

主たる出陳作品は「玉纏御太刀.金銀鈿荘唐太刀」

(神々と貴人の暮らし-彩りの美) [神宮美術館]

[鵄尾御琴」「螺鈿紫檀五絃琵琶」「御鏡」[黄金瑠璃鈿背十二稜鏡.櫛笥.漆彩絵花形皿」

               『国原の 水たてよこに 彼岸鐘』    (飯田蛇笏) 

『大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 

煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ うまし国そ あきづ島 大和の国は』

        (舒明天皇) (萬葉集巻壱-弐) 

「山上臣憶良 秋野の花を詠む歌二首」

『秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種の花 萩の花 尾花葛花 撫子の花 

女郎花 また藤袴 朝貌の花』 (萬葉集 巻八 1538) 

         [萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、尾花、撫子]

          秋の七草に誘われる様に心地良い大和三山の麓 

(瑞穂の国)たわわに稲穂が実る大和路!    『実るほど 頭をたれる 稲穂かな』 

三大香木(沈丁花)(夏は梔子) (金木犀遠くまで香りが届くことから 古くは

(千里香)呼ばれた (金木犀)の仄かな香りに誘われます. 『萬葉集』には金木犀を()

「若楓の木」詠まれ(金木犀)の桂は高貴な香木として愛され~ 

              『好日や 金木犀の 花いきれ』 (鷹羽狩行)

 『本草図譜』(江戸時代)には「木犀」異名に「九里香.天香」「黄色の小花族性し

香気四隣に及ぶ頗る瑞香に似たり」と記されている様です

「桂花.丹桂.厳桂.銀桂」と称され(丹桂)は金木犀(銀桂)は銀木犀を指します 

中唐の詩人.王建の「十五夜望月」(唐詩選「冷露声無く 桂花を湿す 今夜月明人尽く

望むも~」と詠じていますね 

  『秋萩の 散りの乱ひに 呼びたてて 鳴くなる鹿の 声の遥けさ』(湯原王 鳴鹿歌一首)

              『みはるかす 瑞穂国原 穂走れり』(石塚友二) 

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